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【沢登り】僕をアウトドアに引きずり込んだオッサンの話 第1話 靴ザック服装はどうでもいい

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そのオッサンの第一印象は最悪だった。

ボート大会にたまたま参加した時にオッサンはいた。
皆が力を合わせて動いてるのに、オッサンは横からチャチャを入れるだけで全然手伝わないのだ。
 
後日、飲みの場でメタル好きという趣味が合いオッサンと仲良くなった。
余談だが酔った格闘仲間と殴り合ってて周りはドン引きしたらしい。
 
 
そのオッサンは色々と教えてくれた。
世の中のカップル達への憎悪と、孤独に耐える術を。
後日、オッサンが僕を沢登りへと誘った。
 
誘いに乗った自分がバカなのだ。
装備はなんでもいいけどくるぶしをカバーする靴がいいとだけ聞いて、レッドウィングのブーツとジャージを着て集合した。
 
オッサンはアーミーブーツだった。
 
 
 
 
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イメージ図
 
 
沢登りは大変だった。
 
ものすごく大変だった。
 
 
川の流れはそれなりに速い。
プールで水中ウォーキングしてると思うといい。
沢登りは常に水中ウォーキングなのだ。
 
また、歩くたびに足元が滑った。
石が動き、くるぶしを隣の石に強打する。
 
オッサンが言ってたくるぶしガードの靴はこのためだったのだ。
 
 
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イメージ図
 
 
 
川を歩き終われば山道を歩く。
濡れた靴と服で歩く。
そしてまた川に入る。
 
 
5月の水はものすごく冷たかった。
体が水温に慣れるまで時間がかかる。
 
体温を下げないために動き続けないといけないのだ。
 
 
途中で丸太の上を歩いた。
下の川を見るとかなりの高さだ。
 
きっと落ちれば背中を強打して動けないだろう。
落ちてはならない。
なぜなら、このオッサンはそのまま僕を置いて帰る可能性があるからだ。
 
オッサンのバイクで山の中まで来たので、バイクがなくなれば誰もここに人がいるなんて思わない。
なんだ、完全犯罪なんて楽勝じゃないか。
 
とにかく、このオッサンに完全犯罪をさせてなるものかと頑張ってオッサンの後についていった。
怪我はしないよう細心の注意を払いながら。
 
疲労と足の痛みで朦朧とするなか、次第に腹が立ってくる。
こんな目に合わせやがって・・・。
 
さらに腹が立ったのはこのオッサン、足が速いのだ。
 
先を歩いていたオッサンが休憩しながらこちらを見ている。
僕がオッサンにある程度近づく
オッサンは休憩を辞め歩き出す。
 
こうして僕は休憩する暇なく常に歩き続けるしかないのだ。
 
くそ!あのジジイ、必ず殴ってやる!
 
それだけをモチベーションに沢登りを続けた。
 
 
 
続く・・・

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